58.兌為沢(だいたく)

キーワード

喜び

卦辞
願いは通じる。正道を守って努力すればよろしい。人の上に立つものが喜びつつ先頭を切って事に当たれば、民も喜んでこれに続くであろう。また、並んだ二つの沢がお互いを潤し合って近くの生き物を育むこの卦象にのっとり、君子は朋友と助け合いながらも切磋琢磨し、その学問の向上の助けとするのである。

象伝
沢が麗き連なったさまが兌である。二つの沢がお互いを潤し合って周囲の生き物を育むこの卦象にのっとって、君子は朋友と助け合いながらも切磋琢磨し、その学問の向上の助けとするのである。

解説
あなたの向かう先に喜びが待っていること示します。ただし、なかには好ましくない喜びもあります。おべっかを使ってあなたを喜ばせ、なにか見返りを得ようとする者が現れるかもしれません。それを防ぐためには、身のふるまいを正して努力することがなによりも大切です。そのようにすれば、願いは通じるでしょう。またこの卦は学問を切磋琢磨して修養することの大切さにも触れています。トーマス・エジソンの言葉に「私はいわゆる労働というものをしたことがない。することなすこと全てが楽しいからだ」という言葉があります。エジソンに限らず、自分の好きな対象について努力することは楽しいことなのです。あなたがもし学生であるならば、興味のある科目を見つけて、大いに努力するとよいでしょう。学生でなくとも好きな事を始めるのに遅すぎるという事はありません。好きなことを楽しみながら行えば、願いは通じるのです。

初爻人と和して喜び合う。吉である。
二爻誠をもって人と喜び合う。吉であり、悔いもなくなる。
三爻やって来て巧言令色を用いて喜ばせる。凶である。
四爻どちらの喜びを取ろうかと並び比べて悩む。邪悪なものを憎み退ければ喜びを得る。
五爻自分に危害を加えようとする邪な者を心から信用して親しもうとする。危険である。
上爻人を取り込み、引きいれて喜ぶ。志が低く卑しいことである。
爻辞
原文

卦辞
兌、亨。利貞。

彖伝
彖曰、兌、說也。剛中而柔外。說以利貞。是以順乎天而應乎人。說以先民、民忘其勞。說以犯難、民忘其死。說之大、民勸矣哉。

象伝
象曰、麗澤、兌。君子以朋友講習。

初爻初九。和兌。吉。
象曰、和兌之吉、行未疑也。
二爻九二。孚兌。吉、悔亡。
象曰、孚兌之吉、信志也。
三爻六三。來兌。凶。
象曰、來兌之凶、位不當也。
四爻九四。商兌未寧。介疾有喜。
象曰、九四之喜、有慶也。
五爻九五。孚于剥。有厲。
象曰、孚于剥、位正當也。
上爻上六。引兌。
象曰、上六引兌、未光也。
爻辞・小象