キーワード
豊富 ・盛大
卦辞
願いは通じる。この盛大さはまさに王者だけが至りえる境遇である。いたずらに憂いる必要はない。太陽が中天にあるかのごとく、盛大の勢いを絶やさぬようにすればよいのである。
象伝
雷鳴と電光がともにやってくるさまが豊である。君子はこの象にのっとって、訴訟を裁き、刑罰を断行するのである。
解説
豊は盛大・豊大を意味します。王者のごとく盛大な勢いで事にあたれば、目的を達し得て益々豊かになるでしょう。盛者必衰の理から言えば、月が欠けるような衰運から逃れるすべはありませんが、今はいたずらに心配する必要はありません。燃えさかる太陽のように、その勢いを維持することに努め、破竹の勢いで物事に取り組むべきです。そのようにすれば、願いは通じるでしょう。
| 初爻 | 志を同じくする主人と会って調和を保ちつつ協力しあえば災いはない。自分から進んで会いに行けば尊ばれるであろう。 |
| 二爻 | 日除けを大きくかけたので、日中でも北斗七星が見えるほど真っ暗である。進んで事に当たろうとするとかえって疑われ憎まれるが、ただひたすら誠をもって相手の心を押し開けば吉である。 |
| 三爻 | 天幕をかけたので、日中にもかかわらず星屑が見えるほど真っ暗である。そのため、せっかく腕を振るおうにも右ひじが折れたように力が発揮できない。自分にやましいところがないので災いはないが、大事をなすにはよろしくない。 |
| 四爻 | 日除けを大きくかけたので、日中でも北斗七星が見えるほど真っ暗である。自分と同等の力をもつ同僚に助力を請い、それが得られれば吉である。 |
| 五爻 | 自分の才徳では天下を治めることは手に余るが、徳と知恵を兼ねそろえた賢臣の力を求めれば喜びと名誉が得られて吉である。 |
| 上爻 | 才徳を備えていないにもかかわらず思いあがって人と親しくしない。例えるならば、家の屋根を大きくして家全体を日よけで覆い、室内を暗くして閉じこもるようなもの。中をのぞいてもひっそりとして人の気配がなく、三年経っても顔を出そうとしない。凶である。 |
原文
卦辞
豐、亨。王假之。勿憂。宜日中。
彖伝
彖曰、豐、大也。明以動。故豐也。王假之、尙大也。勿憂、宜日中、宜照天下也。日中則昃、月盈則食。天地盈虛、與時消息。而況於人乎。況於鬼神乎。
象伝
象曰、雷電皆至、豐。君子以折獄致刑。
| 初爻 | 初九。遇其配主。雖旬无咎。往有尙。 象曰、雖旬无咎、過旬災也。 |
| 二爻 | 六二。豐其蔀。日中見斗。往得疑疾。有孚發若、吉。 象曰、有孚發若、信以發志也。 |
| 三爻 | 九三。豐其沛。日中見沬。折其右肱。无咎。 象曰、豐其沛、不可大事也。折其右肱、終不可用也。 |
| 四爻 | 九四。豐其蔀。日中見斗。遇其夷主、吉。 象曰、豐其蔀、位不當也。日中見斗、幽不明也。遇其夷主、吉、行也。 |
| 五爻 | 六五。來章、有慶譽。吉。 象曰、六五之吉、有慶也。 |
| 上爻 | 上六。豐其屋、蔀其家。闚其戶、闃其无人。三歳不覿。凶。 象曰、豐其屋、天際翔也。闚其戶、闃其无人、自藏也。 |