卦辞
女のほうが積極的に男のもとに押しかけており、正しい態度とはいえない。従って進めば凶である。良いことは一つもない。
象伝
沢の上に雷があるのが帰妹である。君子はこの象にのっとって、万事に遠い将来までを見通し、そのはじまりが悪いと失敗を招くことを知るのである。
解説
帰妹は妹(若い娘)を嫁がせるという意味。若い女性(兌)が年上の男性(震)に率先してアプローチするこの卦の象から、お金目当ての結婚を連想させます。男性で思い当たる節があれば注意してください。また男女関わらず、下心をもって近寄ってくる人間がいるかもしれないので警戒が必要です。その他、物事に進める際であれば、最初から最後まで正しい手順を踏んでとり行うよう戒めなければなりません。近道や裏道を使って楽をしようなどとはくれぐれも考えないことです。
初爻 | 正夫人ではなく、それに従う副妻として嫁ぐ。片足の悪い人がまがりなりにも歩けるように、なんとか婦人の道を尽くすことができる。よって行けば吉である。 |
二爻 | 賢女が愚かな夫を得る。内助の功を尽くしても、あまりうだつがあがらない。片目では遠くまで見通せないようなものだから、世を捨ててひっそり暮らす隠者のごとく、一貫して己の婦道に尽くすとよろしい。 |
三爻 | 女が結婚したが、卑賎な身分ゆえに正夫人になれない。副妻として嫁ぐべきである。 |
四爻 | 賢女が良き配偶者を得られず婚期を逃す。嫁ぐべき相手を待って過ごさねばならない。 |
五爻 | 帝乙が妹をその賢臣に嫁がせたとき、花嫁衣装は副妻のそれよりも質素であった。しかし満月にほど近い月のように奥ゆかしい婦人の徳が自然に光り輝くので、きらびやかに着飾る必要は全くないのである。吉。 |
上爻 | 婚約しても誠意のない相手で結婚が成立しない。例えるならば、女が嫁入り道具に竹籠を受け取っても中味がなく、男が婚礼のための羊を割いても不吉なことに血がでないようなものである。よろしいところがない。 |
原文
卦辞
歸妹、征凶。无攸利。
彖伝
彖曰、歸妹、天地之大義也。天地不交而萬物不興。歸妹、人之終始也。說以動、所歸妹也。征凶、位不當也。无攸利、柔乘剛也。
象伝
象曰、澤上有雷、歸妹。君子以永終知敝。
初爻 | 初九。歸妹以娣。跛能履。征吉。 象曰、歸妹以娣、以恆也。跛能履吉、相承也。 |
二爻 | 九二。見龍在田。利見大人。 象曰、利幽人之貞、未變常也。 |
三爻 | 九二。眇能視。利幽人之貞。 象曰、歸妹以須、未當也。 |
四爻 | 九四。歸妹愆期。遲歸有時。 象曰、愆期之志、有待而行也。 |
五爻 | 六五。帝乙歸妹。其君之袂、不如其娣之袂良。月幾望。吉。 象曰、帝乙歸妹、不如其娣之袂良也、其位在中、以貴行也。 |
上爻 | 上六。女承筐无實、士刲羊无血。无攸利。 象曰、上六无實、承虛筐也。 |