45.沢地萃(たくちすい)

キーワード

集まる・集合

卦辞
願いは通じる。王者は祖先の霊魂が集まる宗廟で祭祀をとり行えばよろしいし、人民は有徳の賢者に会ってその教えに従えばよろしい。いずれも願いが通じるであろう。ただし、いずれの場合も正道を守って努力した場合にのみ利を得られる。このように人が集まり来る時ならば、牛、豚、羊などの大きないけにえを用いて祭祀を行っても吉であり、進んで大事に取り組むにもよいであろう。

象伝
沢が地の上にあって万物を潤し、たくさんの人が集まってくるさまが萃である。君子はこの象にのっとって、兵器を整備し、不慮の出来事への警戒を怠らないのである。

解説
萃は集まるの意味。人が集まって事に当たれば成功を収めることができるでしょう。その力の根源は集団の持つ多様性にあります。どんな難問であれ、沢山の人が集まれば、その中に解決の糸口を持っている人がいるかもしれません。人は十人十色であり、だからこそ強いといえるのです。そして、その力は人々が団結したときに最も強くなります。人々が集まって志を合わせることで、時の政権すら打ち倒してしまうような類例を世界各地の市民革命に見ることができます。この強力な力は、卦辞のとおり正しい目的に用いなければ害にもなり得ますから、用いる際は細心の注意が必要です。また別の側面として、人が集まれば不慮の事態もおこりやすくなります。もしあなたがイベントを開催したり興行を主催する側の人間であるならば、十分に警戒して変事に備えるようにしてください。

初爻誠意があっても全うできず、心が乱れてどうにも定まらない。もし泣き叫んで友を呼ぶなら応じてくれて、たちまち喜びの笑いを得られよう。決して心配しなくてもよい。思い切って前進して問題はない。
二爻お互いが引き合えば必ず集まることができるので吉であり、問題はない。誠意があれば簡素な祭を行ってもよろしい。
三爻仲間と集まろうにも願いが叶わず、嘆き悲しむばかりで良いところがない。進めば受け入れてくれる人がいて災いはないが、少々恥をかく。
四爻大吉。災いなし。
五爻人心を集めて地位を保つので、災いはない。たとえ自分の誠意に信服しないものがいても、長期にわたって正道を保てば徐々に誠意が伝わり、信服されないという悔いも消える。
上爻共に集まって楽しむ仲間が見つからず、嘆き悲しんで涙を流す。しかしこれを反省すれば災いは無い。
爻辞
原文

卦辞
萃、亨。王假有廟。利見大人。亨。利貞。用大牲吉。利有攸往。

彖伝
彖曰、萃、聚也。順以說、剛中而應。故聚也。王假有廟、致孝享也。利見大人、亨、聚以正也。用大牲吉、利有攸往、順天命也。觀其所聚、而天地萬物之情可見矣。

象伝
象曰、澤上於地、萃。君子以除戎器、戒不虞。

初爻初六。有孚不終。乃亂乃萃。若號、一握爲笑。勿恤。往无咎。
象曰、乃亂乃萃、其志亂也。
二爻六二。引吉。无咎。孚乃利用禴。
象曰、引吉、无咎、中未變也。
三爻六三。萃如、嗟如。无攸利。往无咎。小吝。
象曰、往无咎、上巽也。
四爻九四。大吉。无咎。
象曰、大吉、无咎、位不當也。
五爻九五。萃有位。无咎。匪孚、元永貞、悔亡。
象曰、萃有位、志未光也。
上爻上六。齎咨、涕洟。无咎。
象曰、齎咨、涕洟、未安上也。
爻辞・小象