39.水山蹇(すいざんけん)

キーワード

障害物

卦辞
平坦な西南(坤・地)方位に行くのがよろしく、険しい東北(艮・山)方位に行くのはよろしくない。 障害に当たったとしても信頼できる大人に相談すればよろしく、そのうえで正道を守って努力すれば吉となる。

象伝
険しい山の上に深い水があるのが蹇である。君子はこの象にのっとって、困難に遭えばただ真摯に反省し、徳をおさめてこれに対処するのである。

解説
蹇は行き悩んで進まないという意味。あなたが行こうとしている方向・方針に困難が待ち構えていることを暗示します。卦辞にもあるように、自分一人で判断せず、経験豊富な先輩・上司に意見を求めるとよいでしょう。米国のファーストレディで婦人運動家だったエレノア・ルーズベルトは、「他人の失敗から学びなさい。自分ですべての失敗を経験できるほど人は長生きできません」という言葉を残しています。他人が失敗から得た経験はある意味で貴重な共有財産といえます。うまく活用して困難を乗り越える手がかりとしましょう。そのようにして努力すれば、吉となります。

初爻進めば困難に悩むが、退けば名誉を受ける。従って今は時を待つべきである。
二爻国難にあたり、王の家臣が自らの利益などは顧みず粉骨砕身して事に当たっている。これはもとより自分のためではなく国のためである。結果はどうあろうとも問題は無い。
三爻進めば困難にあうが、退けば仲間に喜び迎えられ安泰を得る。
四爻行けば困難にあうが、退けば仲間と連なって事に当たることができる。
五爻困難の真っただ中にいて苦しむが、仲間がやって来て助けてくれる。
上爻進んで困難に立ち向かおうとすると、ますます泥沼にはまって悩むことになるが、留まって仲間と共に事にあたれば大きな功を立てられる。吉である。賢者や貴い身分の人に従うとよい。
爻辞
原文

卦辞
蹇、利西南。不利東北。利見大人。貞吉。

彖伝
彖曰、蹇、難也。險在前也。見險而能止、知矣哉。蹇、利西南、往得中也。不利東北、其道竆也。利見大人、往有功也。當位貞吉、以正邦也。蹇之時用、大矣哉。

象伝
象曰、山上有水、蹇。君子以反身脩德。

初爻初六。往蹇、來譽。
象曰、往蹇、來譽、宜待也。
二爻六二。王臣蹇蹇。匪躬之故。
象曰、王臣蹇蹇、終无尤也。
三爻九三。往蹇、來反。
象曰、往蹇、來反、内喜之也。
四爻六四。往蹇、來連。
象曰、往蹇、來連、當位實也。
五爻九五。大蹇、朋來。
象曰、大蹇、朋來、以中節也。
上爻上六。往蹇、來碩。吉。利見大人。
象曰、往蹇、來碩、志在内也。利見大人、以從貴也。
爻辞・小象