キーワード
家庭を治める
卦辞
家人それぞれが役割を守って家庭が平和に治まる。殊に女性が正しい態度をもって家庭を治めるとよろしい。
象伝
風が火から起こるさまが家人である。君子はこの象にのっとって、その言うことは真実にもとづき、その行なうことには一貫性があるように心がけるのである。
解説
家人とは家族の人の意味。国家は家族がたくさん集まって構成されています。よって家庭を立派に治めずしてどうして国家が治まるでしょうか。家庭に厳君ありというのは父母のことを指しているのです。父は父らしく、子は子らしく、兄は兄らしく、弟は弟らしく、夫は夫らしく、婦は婦らしくあってはじめて家道は正しいと言えるでしょう。よって、まずは家庭での自分の役割を理解し、その務めをしっかりこなすことにより家庭をよく治めることです。そうしなければ、外に出ても十分に力を発揮することは難しいでしょう。この機会に仕事に夢中になるあまり家庭がおろそかになっていないか振り返ってみてください。
| 初爻 | 家が乱れぬように、家人の過ちを未然に防げば、悔いはなくなる。 |
| 二爻 | 我儘を通してはならない。自らの務めである台所の仕事をきちんとこなし、正道を守って従順な心を忘れなければ吉である。 |
| 三爻 | 家人を治めるのに、厳しすぎれば家族はきゅうきゅうと悲鳴を上げるが、それを少し反省するくらいが吉である。逆にゆるやかすぎて女子供がきゃあきゃあ笑い転げるようなしまりのなさでは、最終的にはよろしくない。 |
| 四爻 | 賢婦の象徴である。家事に精を出せば自然と家が富み、大吉。 |
| 五爻 | 王が家を治め、家族が愛情で満たされる。家は天下の礎であるから、王の家がこのようであれば何の心配もない。吉である。 |
| 上爻 | 家を治めるにあたって誠意があり、威厳も備わっていれば、最終的には吉である。 |
原文
卦辞
家人、利女貞。
彖伝
彖曰、家人、女正位乎内、男正位乎外。男女正、天地之大義也。家人有嚴君焉、父母之謂也。父父、子子、兄兄、弟弟、夫夫、婦婦。而家道正。正家而天下定矣。
象伝
象曰、風自火出、家人。君子以言有物、而行有恆。
| 初爻 | 初九。閑有家。悔亡。 象曰、閑有家、志未變也。 |
| 二爻 | 六二。无攸遂。在中饋。貞吉。 象曰、六二之吉、順以巽也。 |
| 三爻 | 九三。家人嗃嗃。悔厲吉。婦子嘻嘻、終吝。 象曰、家人嗃嗃、未失也。婦子嘻嘻、失家節也。 |
| 四爻 | 六四。富家。大吉。 象曰、富家、大吉、順在位也。 |
| 五爻 | 九五。王假有家。勿恤吉。 象曰、王假有家、交相愛也。 |
| 上爻 | 上九。有孚威如、終吉。 象曰、威如之吉、反身之謂也。 |