卦辞
願いは通じ、災いは避けられるであろう。正道を守って努力すればよろしく、進んで事に当たって成功を収め得る。
象伝
雷が鳴り響き風が吹き渡っているさまが恒である。君子はこの象にのっとって、いかなる困難においてもしっかりと自立して、その常とする方針を変えないのである。
解説
恒は恒久不変の意味。正しい道に恒久的に進むのですから、成功するのは言わずもがなです。昔から「石の上にも三年」や「継続は力なり」、「雨垂れ石を穿つ」、「ローマは一日にして成らず」といった様々な言葉で、洋の東西を問わず継続することの大切さは語り継がれてきました。よって、継続することの力を得れば、願いは通じるのです。また物事に取り組むに当たり、なんらかのトラブルが発生した場合は、今までの方針を変えずに進めるのが良いでしょう。
初爻 | 最初から深入りして相手に求めようとする。その限りにおいて正しい動機であっても凶。良いところはない。 |
二爻 | 恒常不変の精神を守れば悔いはなくなる。 |
三爻 | 徳に欠け、節操がない。軽挙妄動して恥をかかされることがある。動機や意志が正しいとしてもよろしくない。 |
四爻 | 狩りに行っても獲物を得られない。獲物がいないところにいるので得られないのは当然である。 |
五爻 | 従順の徳に一貫して固執する。婦人にとっては吉だが、男子にとっては凶である。 |
上爻 | いつも動揺していて恒常不変の道とは程遠い。このようであれば成功を収め得ない。凶。 |
原文
卦辞
恆、亨。无咎。利貞。利有攸往。
彖伝
彖曰、恆、久也。剛上而柔下、雷風相與、巽而動、剛柔皆應、恆。恆亨、无咎、利貞、久於其道也。天地之道、恆久而不已也。利有攸往、終則有始也。日月得天而能久照、四時變化而能久成、聖人久於其道而天下化成。觀其所恆、而天地萬物之情可見矣。
象伝
象曰、雷風、恆。君子以立不易方。
初爻 | 初六。浚恆。貞凶。无攸利。 象曰、浚恆之凶、始求深也。 |
二爻 | 九二。悔亡。 象曰、九二悔亡、能久中也。 |
三爻 | 九三。不恆其德。或承之羞。貞吝。 象曰、不恆其德、无所容也。 |
四爻 | 九四。田无禽。 象曰、久非其位、安得禽也。 |
五爻 | 六五。恆其德貞。婦人吉、夫子凶。 象曰、婦人貞吉、從一而終也。夫子制義。從婦凶也。 |
上爻 | 上六。振恆。凶。 象曰、振恆在上、大无功也。 |