25.天雷无妄(てんらいむぼう)

キーワード

誠実・無邪気・無心

卦辞
願いは大いに通じるであろう。常に正しい態度をとるとよろしい。もし動機が不正であれば、自ら災いを招くことになるから事を進めてはならない。また、この卦は天の下に雷が轟き、万物がそれぞれに生を遂げるさまを象る。古代の聖王はこの象に則って時節のめぐりに対応し、万物を養い育てるよう心掛けたのである。

象伝
天の下に雷が轟き、万物が自然の摂理そのままに生を遂げるさまが妄である。古代の聖王はこの象にのっとって、時節のめぐりに対応し万物を養い育てるよう心掛けたのである。

解説
无妄は虚妄(うそいつわり)が無いこと。つまり、あるがままにして誠実であることを意味します。近年、大企業による不正の隠蔽事件が頻繁に起こっていますが、一体なぜこのようなことが相次いで発生するのでしょうか。これは企業が本来の目的を忘れ、短期的かつ利己的な利益だけを追い求めるといった、極めて近視眼的なものの見方をするからだと考えられます。ほんの少しでも長期的な視点を持てば、顧客に損害を与えてその信頼を失い、賠償で経済的損失を被り、世間からは罵られ蔑められる、といったように、メリットは何一つないことに気づくはずです。もとより嘘はつきとおせるわけがありません。これに防止するためには、不正そのものができないような組織的なチェック体制の構築が不可欠です。卦辞にもあるとおり、不正な動機のまま物事を進めてはいけないのです。今あなたがすべきことは非常に単純です。本来の目的を見据え、嘘偽りなく堂々と事をすすめればよいだけです。そのようにすれば願いは大いに通じるでしょう。

初爻无妄誠実の人柄である。したがって進んで物事にあたれば吉。志を果たすことができるだろう。
二爻道理に従い、自然のなりゆきに任せて行動する。強いて多くを望もうとしてはならない。例えるならば、新田を作る際には新田を作ることに集中し、熟田を得ようなどとは考えないことである。そのような心がけであれば、進んで物事に当たってよろしい。
三爻无妄誠実であっても不慮の災いがあるだろう。例えば、村に牛をつないでおいたら、通りすがりの旅人がそれを盗んでいってしまい、かわりに村人が罪を疑われるようなものである。
四爻一貫して正しい態度をとれば問題はない。
五爻无妄なうえにも无妄な人柄であるので、それに徹すればよい。薬を服用しなくても治癒し、喜びを得られる。
上爻无妄な態度であってもこれ以上を望んで進むことはできない。強いていこうとすれば、自ら災難を招くようなものである。良いことはない。
爻辞
原文

卦辞
无妄、元亨。利貞。其匪正有眚、不利有攸往。

彖伝
彖曰、无妄、剛自外來而爲主於内。動而健。剛中而應。大亨以正、天之命也。其匪正有眚、不利有攸往。无妄之往、何之矣。天命不祐、行矣哉。

象伝
象曰、天下雷行、物與无妄。先王以茂對時育萬物。

初爻初九。无妄。往吉。
象曰、无妄之往、得志也。
二爻六二。不耕穫、不菑畬、則利有攸往。
象曰、不耕獲、未富也。
三爻六三。无妄之災。或繫之牛。行人之得、邑人之災。
象曰、行人得牛、邑人災也。
四爻九四。可貞。无咎。
象曰、可貞、无咎、固有之也。
五爻九五。无妄之疾。勿藥有喜。
象曰、无妄之藥、不可試也。
上爻上九。无妄。行有眚。无攸利。
象曰、无妄之行、竆之災也。
爻辞・小象