卦辞
願いは大いに通じるであろう。大川を渡るような大事を行うにもよろしい。壊乱した事を治めるにあたっては、心を新たにし丁寧に行うことが大切である。
象伝
山のふもとに風が吹きつけるさまが蠱である。君子はこの象にのっとって、民を奮い立たせて、己の人德を養うのである。
解説
蠱は虫が三つ皿の上に載っている象で表され、物が腐敗した状態を意味します。腐敗すれば、新しいものに取り替えならなければなりません。そこには古いものが新しいものに置き換わるという普遍的な自然の理があります。この理は組織にもいえることです。時代に耐えきれなくなった組織は潰れ、新しい組織に生まれ変わります。例えば過去の王朝や国家が良い例で、古い体制は革命によって新しい社会制度に取って代わられます。そのような、いわば組織の新陳代謝を何度も繰り返して今の社会制度ができたといっても過言ではないでしょう。企業活動でも同様です。顧客に新しい価値を提供できない企業は潰れ、新しい価値が提供できた企業が成長していきます。よって腐敗の卦ではありますが、進んで事にあたれば願いが通じ、新しいものに生まれ変わるチャンスがあるといえるのです。
初爻 | 父親の失敗を引き継ぎ、子供が後始末をする。うまく対処できれば子はもとより父親にも咎はない。多少危ういところはあるが、まだ比較的深刻ではないから収拾しやすいであろう。最終的には吉。 |
二爻 | 母親の失敗を引き継ぎ、子供が後始末をする。母子の関係を壊さないためには、あまり厳格にやりすぎない方がよろしい。 |
三爻 | 父親の失敗を引き継ぎ、子供が後始末をする。小さな悔いは残るが、大きな問題はないだろう。 |
四爻 | 父親の失敗を引き継ぎ、子供が後始末をする。しかし失敗に対処できず、傍観することぐらいしかできない。このまま強いて進んでも辱めを受けるだけだろう。 |
五爻 | 父親の失敗を引き継ぎ、子供が後始末をする。立派に立て直して名誉を授かるだろう。 |
上爻 | 宮仕えに見切りをつけ、一人高潔を守って生活する。この志は模範とするに足るものだ。 |
原文
卦辞
蠱、元亨。利渉大川。先甲三日。後甲三日。
彖伝
彖曰、蠱、剛上而柔下。巽而止、蠱。蠱、元亨而天下治也。利渉大川、往有事也。先甲三日、後甲三日、終則有始、天行也。
象伝
象曰、山下有風、蠱。君子以振民育德。
初爻 | 初六。幹父之蠱。有子考无咎。厲終吉。 象曰、幹父之蠱、意承考也。 |
二爻 | 九二。幹母之蠱。不可貞。 象曰、幹母之蠱、得中道也。 |
三爻 | 九三。幹父之蠱。小有悔、无大咎。 象曰、幹父之蠱、終无咎也。 |
四爻 | 六四。裕父之蠱。往見吝。 象曰、裕父之蠱、往未得也。 |
五爻 | 六五。幹父之蠱。用譽。 象曰、幹父、用譽、承以德也。 |
上爻 | 上九。不事王侯。高尙其事。 象曰、不事王侯、志可則也。 |