キーワード
従う・支持
卦辞
人の随従・支持を得て、大いに願いが通じるであろう。正道を守って努力すればよろしく、そうであってこそ災いは避けられる。また人だけでなく状況に従うことも肝要である。君子たるものは時間に従い、昼は働き、夕には家に帰って宴楽休息するのである。
象伝
沢の中に雷があるのが随である。君子はこの雷鳴の轟きが沢の中に入るこの象にのっとって、昼は働き、夕暮れ時になれば家に入って宴楽休息するのである。
解説
随は従う、もしくは支持を得るの意味です。同志を集めてその支持を得れば目標が達成できるでしょう。ただし、各自バラバラに取り組んでも成果は上がりません。リーダーはリーダーシップ、支持者はフォロワーシップという美徳をもって一致協力しなければなりません。また、この卦には状況に従うという意味もあります。時間に従う、天候に従う、季節の変化に従う、いずれの場合も自然の変化に柔軟に従えば災いはありません。
| 初爻 | 配置換えなどによって官職が変わったとしても、とらわれることなく正しい姿勢で全うすれば吉。門の外に出て、広く他人と交流すれば成功を収めうる。 |
| 二爻 | つまらない人間に係りあっていると、立派な人から見放されるだろう。両方一度に親しむことはできないのである。 |
| 三爻 | 立派な人と係っていると、つまらない人は寄り付かなくなり、求めるものが手に入るだろう。ただし、不純な動機からしてはならない。 |
| 四爻 | 君主に従って望むものを手にするが、かえって疑いの元になる。よって、その動機が正しくとも凶。しかし誠意をもって道義を守る賢明さがあれば、何の災いもないだろう。 |
| 五爻 | 誠意をもち善に従う。吉である。 |
| 上爻 | 天下の人心をつなぎ留めること引き捕らえて縄でかたく結んだが如くである。このような王が西山（周の岐山、周王朝発祥の地でもある）で祭祀を行うば、神も喜んで受け入れるだろう。 |
原文
卦辞
隨、元亨。利貞。无咎。
彖伝
彖曰、隨、剛來而下柔。動而說、隨。大亨貞。无咎。而天下隨時。隨時之義、大矣哉。
象伝
象曰、澤中有雷、隨。君子以嚮晦入宴息。
| 初爻 | 初九。官有渝。貞吉。出門交有功。 象曰、官有渝、從正吉也。出門交有功、不失也。 |
| 二爻 | 六二。係小子、失丈夫。 象曰、係小子、弗兼與也。 |
| 三爻 | 六三。係丈夫、失小子。隨有求得。利居貞。 象曰、係丈夫、志舍下也。 |
| 四爻 | 九四。隨有獲。貞凶。有孚、在道以明、何咎。 象曰、隨有獲、其義凶也。有孚在道、明功也。 |
| 五爻 | 九五。孚于嘉。吉。 象曰、孚于嘉、吉、位正中也。 |
| 上爻 | 上六。拘係之、乃從維之。王用亨于西山。 象曰、拘係之、上竆也。 |