2.坤為地(こんいち)

キーワード

母なる大地・従う・受動的

卦辞
願いは大いに通じるであろう。牝馬のような従順さで正しい態度をとり保つとよろしい。人の先に立とうとすると道に迷うが、人の後に従うように心がければ良き先達を得て迷うことがない。西南方面(広々とした大地・陰)に行けば同志の友が得られもとより吉であるが、東北方面(険しい山々・陽)に行ったとしても、同志の友こそ得ることができないが、最終的には喜びが待っている。要するにいかなる場合にあっても心安らかにして正道を歩めば吉である。また、この卦は大地を象った形をしている。君子は母なる大地が如く、その厚い徳によって人々を包容することに努めるべきである。

象伝
大地の地勢が坤である。君子はこの象にのっとって、徳を厚くし、あらゆるものを包容するのである。

解説
この卦は全てが陰の爻で構成されており、今のあなたが能動的に動くよりも、受動的に行動したほうがうまくいくことを示しています。時には柔軟に状況を受け入れて動くことも大切です。例え人から耳の痛い忠告を受けたとしても、突っぱねるのではなく、よく聞き入れて改善すべきところは改善するよう努力すべきです。また、この卦が出た時に人から誘いや提案を受けた場合は、よく吟味してそれに乗ってみるのもよいかもしれません。個ではなく、チームで仕事に取り組むような状況にある場合は、積極的にリーダーを補佐することで目的の達成に貢献してください。そのように長く正道を守って努力すれば、願いは大いに通じます。

初爻はじめて霜を踏んだ時、ハッと気づいてやがて来る堅氷の時期に備えることが肝要である。常日頃からちょっとした変化の兆候を捉え、事が大きくなるまえに危機の芽を摘み取らなければならない。
二爻正直・品行方正・大きな徳、この三つを備える。よって学習の成果をまたずとも、おのずから良い結果が得られるのだ。
三爻普段は才能をひけらかすことなく謙遜して過ごし、しかるべき時をまってその才を現すべきである。王命に従い事に当たるときも、目立つ功績はなくとも終わりを全うすることができる。
四爻嚢の口をくくるように慎んで行動すれば、特別な名誉にあずかることもないが、災いもない。
五爻黄裳(※)を身にまとうが如く中庸柔順の徳が外見に滲み出る。大いに吉。※天子のような高貴な人が着る黄色の下ばかま。
上爻陽の竜と陰の竜が原野で戦い、それぞれが黒い血と黄色い血を流す。陰の道が行き過ぎるからである。
用六永く正しい道を歩めば吉。坤為地の精神を永く継続すれば、その大いなる徳をもって終わりを全うできるだろう。
爻辞
原文

卦辞
坤、元亨。利牝馬之貞。君子有攸往、先迷、後得主。利西南得朋、東北喪朋。安貞吉。

彖伝
彖曰、至哉坤元、萬物資生。乃順承天。坤厚載物、德合无疆、含弘光大、品物咸亨。牝馬地類、行地无疆。柔順利貞、君子攸行。先迷失道、後順得常。西南得朋、乃與類行。東北喪朋、乃終有慶。安貞之吉、應地无疆。

象伝
象曰、地勢、坤。君子以厚德載物。

初爻初六。履霜堅冰至。
象曰、履霜堅冰、陰始凝也。馴致其道、至堅冰也。
二爻六二。直方大。不習无不利。
象曰、六二之動、直以方也。不習无不利、地道光也。
三爻六三。含章可貞。或從王事、无成有終。
象曰、含章可貞、以時發也。或從王事、知光大也。
四爻六四。括囊。无咎无譽。
象曰、括囊、无咎、愼不害也。
五爻六五。黄裳。元吉。
象曰、黄裳元吉、文在中也。
上爻上六。龍戰于野。其血玄黄。
象曰、龍戰于野、其道竆也。
用九用六。利永貞。
象曰、用六永貞、以大終也。
爻辞・小象